
遙かなる地球の歌 / アーサー・C. クラーク
“すべての著作の中でも、この作品を以て人々の記憶に残りたい—”と本人が言うように、宇宙開発/海/人類…みたいなアーサー・C・クラークおなじみのテーマがキレイに配合された作品。話としては、太陽系の最期に立ち会った人類が、最後の移住先への道すがら、過去に植民に失敗したと考えられていた一つの惑星に立ち寄る…というもの。
この作品は“恒星間飛行テーマについての完全に現実的な作品を生みだそうとする企て”だったようで、数百年単位の航海時間や、その間の地上での技術的進歩などが背景としてうまく使われている。話としてはちょっと地味ではあるんだけど、その辺の時間軸方向の雄大さを感じながら読むと良いんだろうな、と。

The Songs of Distant Earth / Mike Oldfield
実はこの小説にインスパイアされたマイク・オールドフィールドのアルバム、「The Songs of Distant Earth」(小説の原題と同名)を昔よく聴いてまして、そのうち小説も…と思ってました。音楽的にはマイク・オールドフィールド節というか、アイルランド民謡系のメロディーを軸にしたインスト。この小説のサントラとしては「地球への郷愁+サイエンス」な感じがかなり表現できてます。おやすみ時のBGMとしてオススメ!

Amazon.co.jp: フューチャリスト宣言: 本: 梅田 望夫,茂木 健一郎
相当な数の書評があがっているので内容は大体わかってしまっていたけど、やはり読んでみました。で、確かに言われているように、似た方向性を持った二人の確認作業のような内容なので、これまでの著作やネット上での発言を読んでいる人には、特に新しい発見は無い感じ。でも元々は若者をターゲットにした本のようだし、そういうフレッシュな状態に気持ちをリセットしてくれる、楽しめる本にはなってると思う。
茂木 いま、お話をうかがいながら、もやもやとしていたことがはっきりしました。本というのはリアル世界だけの存在だと思われがちだけども、ネットの海、情報の海に、空から降りてくるときに、錨をおろすリファレンス・ポイントになるんですね。雑誌は、そういう錨をおろすポイントになっていない。
…もやもやとしていたことがはっきりしました。
本はどちらかと言うとパーソナルなメディアだったし、絶滅を危惧されてもいたはずなのに、いつの間にか存在意義が微妙に変わってきてるような気はしてた。本がその“ポイント”になれたのは、やはりamazonのおかげなんだろうな。リンク一発で最低限の内容を共有できるって、それだけでも凄いことだ。

キリンヤガ/マイク・レズニック
グローバル化が進み均質化した近未来、既に工業化を終えヨーロッパの生活様式を取り入れたアフリカ。その一つの部族が、箱庭的な世界で伝統の暮らしに回帰しようという試みと、それが徐々にほころんでいく様を描いたSF小説。読後感としてはインディオの民話のような、又はスタートレックの完成度の高い回のような。
やっぱ人間の進む方向というか、大きな流れみたいなものは変えられないのかもなぁ、とか。最近はロハスやらなんやらで“ほどほど”を目指すようにはなってるけど、いずれは自らリセットボタンを押す日も来るんだろう。でもま、そこからまた別の先を目指せば良いんだろうし、人間ってのはそういう生き物なんだろうな。
先日のNHKクローズアップ現代のアルファブロガー特集(⇒YouTube)でもフィーチャーされていた書評ブログ「情報考学」経由。ここで面白そうと思った本だけでも、とても読み切れない量なんだよなぁ…どーしましょ。

村上隆という人を作品の良さとは別に、“何だかウマいことやって一山当てた人”と見ていたところがあったんだけど、そういう“ウマいことやる”のを野暮とするのは日本的な考え方で、そういった戦略こそが芸術というのが欧米、という話。そもそも芸術の世界も一つの「業界」である、と。言われてみれば確かに当たり前の事かもしれない。
そういう「事業」的な部分を隠してないけれど、実は真摯に芸術と向き合ってる人だというのも伝わってくる。見た目的には「ベクターデータで描かれたイラストレーション」であるものを世界中で芸術として認めさせる、これは半端な理論武装では無理な話。まぁ単純に一枚の絵として見ても、いくつかの作品は本当に凄い作品だと思うけど。
この本、文章としては全然こなれてないんだけど、だからこそ(?)ストレートに良い言葉が結構含まれている。いわゆるアーティストと呼ばれるものを目指している、又は目指したことのある人であれば心の中に持っていそうな“もやもや”を多少なりとも形が見える状態にしてくれる本かもしれない。
あと原寸大フィギュア制作時の海洋堂とのやりとりとか、結構面白い。